CROSSTALK vol.04
絶対の正解のない、
「表現」の道を突き詰め続ける

CROSSTALK vol.4 城之内ミサ×森田順平

PACSでは「表現」を学ぶために、照明や音響など舞台制作の裏方を目指す学生もミュージカルや朗読劇などの授業を受講します。今回は「THE業界人(仕事の流儀)」を担当する講師の一人、俳優?声優の森田順平先生に登場いただきました。これまでの道のりや俳優と声優の仕事について、「表現」することのおもしろさや奥深さなどを語ってもらいました。

舞台から映像、声の仕事へと役者として幅広く活躍

―森田先生のこれまでのご経歴を教えてください。

森田先生

森田:高校時代から演劇に夢中で、すぐにでも俳優になりたいと思っていましたが、親が大学進学を望んでいたため、日本大学芸術学部演劇学科に入学しました。在学中の1976年に文学座研究所へ入所し、大学を卒業した77年に文学座に入りました。文学座を志したのは、杉村春子さんや北村和夫さんといった尊敬すべき大先輩の存在に加え、木村光一さんという演出家がいらしたからです。なんと77年の僕の初舞台『金木犀はまだ咲かない』では、僕の母親役が杉村さん、父親役が北村さんで、演出が木村さんという信じられないほどラッキーな座組に恵まれました。

城之内:劇団期待の新人だったのですね。

森田:同年NHKの大河ドラマ『花神』でテレビドラマデビューも果たしました。そして、79年にはTBS『3年B組金八先生』に数学の乾先生役として出演が決まり、第1シリーズから最終回まで間が空くこともありましたが32年間出演しました。出演のきっかけになったのは、NHKのドラマで知り合った脚本家の小山内美枝子さん。そして、この作品でプロデューサーの柳井満さんと出会い、さらに城之内先生ともお会いしましたね。

城之内:私は88年の第3シリーズから音楽を担当するようになり、第4シリーズからは音楽の先生として出演し、挿入歌の作曲なども手掛けるようになりました。

森田:95年に文学座を退座してからは、舞台やドラマだけでなく、洋画や海外ドラマ吹き替えなどを中心に声優の仕事にも挑戦しています。また、澳门百利宫官网_百利宫赌场平台¥注册网址で講師をされていた柳井さんの推薦を受け、僕もこちらで講師を務めるようになりました。いろいろな巡り合わせや人のつながりがあって、今、ここにいます。

「教える」のではなく、学生一人ひとりの表現を「引き出す」

―森田先生は現在どのような授業を担当されているのですか?

森田:「THE業界人(仕事の流儀)」という授業で朗読劇の指導をしています。

城之内先生

城之内:1年生では、企画構成から演出までを学生たちの自由な発想で朗読劇を創り上げて発表する授業が行われ、3年生では振付家?演出家の講師の下でミュージカル制作に取り組みます。その間に位置するのが、森田先生による朗読劇の授業です。この授業を通して驚くほど学生の表現が変わります。俳優や声優でない裏方志望の学生も、その学生らしい演技をするようになって、「森田マジック」と呼んでいるくらいです。

森田先生

森田:僕自身、大学の演劇学科では多くの知識や技術を教えられましたが、それがそのまま舞台での表現になるのではなく、見たものや聞いたもの、感じたものなどが混ざり合って、自分の演技になります。演技には絶対の正解はありません。学生が10人いれば10の演技があります。ですから授業でも、学生に演技を「教える」ことはありません。

城之内:授業を見学していると、森田先生の言葉に、学生が自分なりの演技で答えを返している様子がうかがえて、とても楽しいです。「こうやりなさい」と教えるのではなくて、「こういう状況だからこういう演技になる」と学生自身が腑に落ちるから、どんどん変わっていくのでしょうね。

森田:僕もそれが楽しくて、もっともっとと高みを目指したくなります。

城之内先生

城之内:クラシックはモーツァルトやベートーヴェンといった今この世にいない作曲家が楽譜に書き残した「暗号」を読み解いて弾くものなのですが、私自身がクラシックを学んでいたときは、先生から「こう弾きなさい」と指導されることがほとんどでした。もちろんクラシックには技術面での決まりごとはあります。けれど技術の先には「表現」があるのです。どう表現するのかまで教えることは正しいのかどうか。あるとき高名な作曲家の先生の前で、その先生の曲の伴奏をすることがあったのですが、先生は「どうぞあなたの思う通りに弾いてください」と言ってくださいました。その感動が忘れられないので、私も自分の曲を演奏してもらうときには「譜面を読み取って、自由に演奏してください」と伝えています。

森田:演技の指導も同じですね。技術を教えることはできますが、どのように演じるかは学生一人ひとりのものです。性格も考え方もちがう個性豊かな学生の集まりですから、同じ演技になるはずもありません。授業で朗読劇をつくる際には、学生の個性も考慮してキャスティングをしています。ぴたっと合えば、放っておいてもどんどんおもしろく演じられる。少しだけ手助けをして、各自の演技を誘発させるのが僕の役割です。わくわくさせてくれる学生がたくさんいます。

城之内:入学当初はコミュニケーションが苦手だった学生も朗読劇をきっかけに見違えるほど変化しますね。人前で臆することなく自分を表現できるようになります。

―PACSでは声優や俳優志望の学生だけでなく、裏方志望の学生もミュージカルや朗読劇の授業を受講します。その理由はなぜですか?

城之内先生

城之内:すべては「好き」を実現するためです。好きなことを仕事にするためには、苦手なことにも挑戦し、克服する必要があります。また、ほとんどの学生は、エンタメに関わる仕事にどんなものがあるのかも知りません。経験することで好きなことが増えれば、将来の選択肢も広がります。

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その「好き」という想いと価値観を大切に。
けれど、時には「好き」だけでは
通用しないこともある。
自分の興味のないことにも目を向け、
多様な経験を積むことで「好き」は
さらに大きく羽ばたく。
業界人としての知識や技術、
そして人間力を養い、
本気のエンターテインメントに触れることで、
自分だけの活躍の道を目指す。

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